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高校一年生の時に同じクラスだった女の子と、久しぶりにご飯を食べた。
ご飯の後は普通に解散かと思ったが、当時通っていた高校の道を数年ぶりにドライブしようという話になって 車であの長い坂を登った。
高校時代毎日登っていたあの坂を越えると、文理の子たちが通っていた大きな玄関はなくなっていて そこには瓦礫の上に乗ったブルドーザーが密かに佇んでじっとしていた。
その横に新しく建っていた校舎は縦長の長方形で
痛そうな豆腐のように微妙な存在感を漂わせていた。
無理矢理地面から減り上がってきたかのような馴染みのなさに対して、昔を思い出せば出すほど記憶の中のひとつひとつが優しくて柔らかなものだったと痛感する。
後輩と会った講堂の女子トイレ。
自由すぎて何でもできそうだった先輩と花火をしたりカラオケ大会をした北館4階、軽音部の部室。
今ではもう無いものが多いような気がすると、胸がぎゅっと苦しくなった。
今は生存確認のできないマート。部員みんなで行った菊川のお祭り。
菊川という街は、私の青春そのものであり
時間も 私の中ではあの時のまま止まっている。
街が変われば変わるほど、心に刻まれている思い出が投げ出してしまわないか不安になる。
汚いラクガキだらけの私のロッカー、まだ生きてるかな〜